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認知症になる前に任意後見を検討した方がよいケース

執筆者の写真: 和久 眞山
和久 眞山
8月12日
読了時間: 7分

「最近、親の物忘れが少し増えてきた」

「今は元気だけれど、将来、認知症になったら財産管理はどうなるのだろう」

「子どもが遠方に住んでいるので、親に何かあったときが心配」

高齢の親を持つご家族から、このような不安を聞くことがあります。

認知症などによって判断能力が低下すると、預貯金の管理や契約などが難しくなることがあります。

そのような将来に備える方法の一つが、任意後見制度です。

任意後見制度は、本人が十分な判断能力を持っているうちに、将来、判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ「誰に」「どのようなことを任せるのか」を決めておく制度です。

今回は、特に任意後見を検討しておいた方がよいケースについて、分かりやすくご説明します。

任意後見とは?

任意後見とは、将来、自分の判断能力が低下した場合に備えて、本人が元気なうちに、将来の財産管理や生活に関する事務を任せる人を決めておく制度です。

例えば、

  • 預貯金の管理

  • 年金などの収入に関する手続き

  • 福祉サービスの利用契約

  • 医療・介護サービスに関する契約

  • 施設への入所契約

  • その他、本人が指定した法律行為

などについて、将来、任意後見人に代理してもらうことができます。

大切なのは、

「認知症になってから任意後見を始める」のではない

ということです。

本人に十分な判断能力がある段階で、あらかじめ契約を結んでおく必要があります。

任意後見を検討した方がよい5つのケース

1.子どもが遠方に住んでいる

親が仙台で一人暮らしをしていて、子どもは東京や大阪など遠方で生活している。

このようなケースでは、親に何かあったときに、すぐに駆けつけることが難しい場合があります。

現在は元気でも、

「将来、認知症になったら誰が銀行の手続きをするのか」

「介護サービスの契約が必要になったら誰が対応するのか」

などを、あらかじめ考えておくことが重要です。

任意後見制度を利用すれば、将来の判断能力の低下に備えて、本人が信頼できる人に一定の事務を任せる準備をしておくことができます。

2.一人暮らしで、身近に頼れる人が少ない

一人暮らしの高齢者の場合、

  • 子どもがいない

  • 子どもがいても遠方に住んでいる

  • 兄弟姉妹も高齢になっている

  • 親族との交流が少ない

といった事情を抱えていることがあります。

「もし自分が認知症になったら、誰が自分の生活や財産を支えてくれるのだろう」

という不安を感じている方も少なくありません。

このような場合には、任意後見だけでなく、見守り契約や死後事務委任契約などを含めて、将来の生活全体を考えることが重要です。

3.自分の財産を自分の希望どおりに管理してほしい

任意後見の大きな特徴の一つは、本人が元気なうちに、

「将来、誰に何を任せるのか」

を自分で決められることです。

例えば、

「この人に財産管理をお願いしたい」

「介護施設に入ることになったら手続きをお願いしたい」

「自宅をどうするかについても相談してほしい」

など、自分の将来について希望を伝えておくことができます。

もちろん、任意後見契約を結んだからといって、将来のすべてを任意後見人に任せなければならないわけではありません。

本人の希望を踏まえて、契約内容を検討することが大切です。

4.認知症になった親の財産管理について、家族が不安を感じている

例えば、

「親の預金はある程度あるが、将来、本人が管理できなくなったらどうしよう」

「施設に入ることになった場合、誰が契約するのだろう」

「不動産を所有しているが、認知症になった後の管理が心配」

というケースです。

判断能力が低下した後では、本人自身が新たな契約をすることが難しくなる場合があります。

そのため、

判断能力が十分なうちに、将来のことを考えておく

ことが重要になります。

5.「自分のことは、できるだけ自分で決めておきたい」という人

任意後見制度は、単に家族のための制度ではありません。

むしろ、

「将来、判断能力が低下したとしても、自分の希望をできるだけ反映させたい」

という本人の意思を尊重するための制度でもあります。

例えば、

「できるだけ自宅で生活したい」

「介護が必要になったら、このような施設を希望する」

「財産はこのように管理してほしい」

など、将来について考えておくことができます。

元気なうちに自分の希望を整理しておくことは、本人にとっても家族にとっても大きな意味があります。

任意後見は「認知症になったらすぐ使える」の?

ここは非常に重要なポイントです。

任意後見契約を結んだだけで、すぐに任意後見人が財産管理を始めるわけではありません。

一般的には、本人の判断能力が低下し、家庭裁判所が任意後見監督人を選任することによって、任意後見人による支援が始まります。

つまり、

元気なうちに契約をしておく

判断能力が低下する

家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てる

任意後見人による支援が始まる

という流れになります。

そのため、「今は元気だから、まだ考えなくてもいい」と先延ばしにしてしまうと、本人の判断能力が低下してからでは任意後見契約を結ぶことが難しくなる場合があります。

成年後見制度には「任意後見」と「法定後見」があります

成年後見制度には、大きく分けて、

任意後見制度

法定後見制度

があります。

任意後見は、本人に十分な判断能力があるうちに、本人自身が将来の支援者を決めて契約しておく制度です。

一方、すでに判断能力が低下していて、本人が任意後見契約を結ぶことが難しい場合には、法定後見制度を検討することになります。

そのため、

「まだ判断能力が十分にある今だからこそ検討できる選択肢」

として、任意後見制度を知っておくことが大切です。

すべての人に任意後見が必要なわけではありません

ここも大切な点です。

「高齢になったから任意後見契約をしなければならない」ということではありません。

家族関係、財産状況、本人の生活状況、子どもや親族との距離などによって、必要な備えは異なります。

例えば、

  • 遺言だけを準備する

  • 見守り契約を検討する

  • 任意後見契約を検討する

  • 死後事務委任契約を検討する

  • これらを組み合わせる

など、さまざまな方法があります。

重要なのは、

「自分や親の場合には、何を準備しておけばよいのか」

を早めに考えておくことです。

まとめ

任意後見を特に検討しておきたいのは、

  1. 子どもが遠方に住んでいる

  2. 一人暮らしで、身近に頼れる人が少ない

  3. 将来の財産管理を自分で決めておきたい

  4. 認知症になった場合の財産管理や契約が心配

  5. 将来の生活について、自分の希望をあらかじめ伝えておきたい

といったケースです。

ただし、任意後見はすべての方に必要というわけではありません。

大切なのは、認知症になってから慌てて考えるのではなく、

「元気な今だからこそ、将来について考えておく」

ということです。

「任意後見が必要なのか分からない」という方へ

任意後見制度について調べていると、

「自分の場合、本当に必要なのだろうか?」

「成年後見と任意後見はどう違うの?」

「遺言や死後事務委任も必要なの?」

と、かえって分からなくなることがあります。

そのような場合は、最初から契約を決める必要はありません。

まずは現在の生活状況やご家族の状況、将来の不安などを整理してみることから始めてみてはいかがでしょうか。

行政書士・社会福祉士として、相続・遺言・成年後見・高齢者の生活支援などについて、まずはお話を伺いながら、必要な備えを一緒に整理します。

「何を相談したらいいのか分からない」という段階でも大丈夫です。

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